農学全般

栽培学汎論


遺伝

【非対立遺伝子間の相互作用

・2対の非対立遺伝子が完全優性で遺伝子間に相互作用がない場合、F2では9:3:3:1に分離する。これが基本型であるが、この基本型に遺伝子間の相互作用が加わり様々な分離比を示すようになる。

基本型

AABB×aabb AaBb
AB Ab aB ab
F1 AaBb AB AABB AABb AaBB AaBb
AaBb Ab AABb AAbb AaBb Aabb
F2 AB:Ab:aB:aa aB AaBB AaBb aaBB aaBb
=9:3:3:1 ab AaBb Aabb aaBb aabb

・以下では一方の優性遺伝子をA、劣性遺伝子をa、他方の優性遺伝子をB、劣性遺伝子をbとする。
・被覆遺伝子(優性上位または劣性上位)
優性上位一方の優性遺伝子が他方の優性遺伝子(あるいは劣性遺伝子)の作用を覆い隠すことを優性上位という。AABB, AABb, AABb, AAbb, AaBb, Aabbがすべて同じ表現型(Ab)になるため、F2では12:3:1の分離比となる。 ex. カボチャの果皮色
劣性上位一方の劣性遺伝子が他方の優性遺伝子(あるいは劣性遺伝子)の作用を覆い隠すことを劣性上位という。aaBB, aaBb, aabbがすべて同じ表現型(ab)になるため、F2では9:3:4の分離比となる。 ex. タマネギの鱗茎色
補足遺伝子−ある形質の発現に対して互いに補足しあう遺伝子を補足遺伝子という。A,B両遺伝子は単独では形質を発現せず、共存することで初めて形質を発現するAAbb, Aabb, aaBB, aaBbがすべてaabbと同じ表現型(ab)になるため、F2の分離比は9:7となる。 ex. スィートピーの着色遺伝子
重複遺伝子−ある形質の発現において2つの遺伝子が関与する遺伝子を重複遺伝子という。A,B両遺伝子は単独でも共存していても同じ形質を発現するaabbを除きすべて同じ表現型になるため、F2の分離比は15:1となる。 ex. ナズナ果実のうちわ型遺伝子、イネ種子の有毛遺伝子
相加遺伝子−ある形質の発現において互いに共存することで効果を加算する遺伝子を相加遺伝子という。A,B両遺伝子は同じ形質を支配し互いに等位であるため、AAbb, Aabb, aaBB, aaBbが同じ表現型(ab)になり、F2の分離比は9:6:1となる。 ex. イネの長芒遺伝子
抑制遺伝子−ある形質を発現する遺伝子に作用してその形質発現を抑制する遺伝子を抑制遺伝子という。抑制遺伝子をA、形質発現遺伝子をBとすると、aaBB, aaBbを除きすべてaabbと同じ表現型(ab)となるため、F2の分離比は13:3となる。 ex. イネ葉身のアントシアニン着色遺伝子、タマネギ鱗茎の着色遺伝子

F2の遺伝子型 AABB(1) AABb(2)
AaBB(2)  AaBb(4) AAbb(1) Aabb(2) aaBB(1) aaBb(2) aabb(1)
F2の表現型 AB(9) Ab(3) aB(3) ab(1)
完全独立
優性上位 12
劣性上位
補足遺伝子
重複遺伝子 15
相加遺伝子
抑制遺伝子 13 (13に含む)




    


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