農学全般

栽培学汎論


飼料

飼料中に含まれる養分含有率

以下の表は乳用種雌牛育成時の給与飼料中に含まれる養分含有率を示している。



・牛の週齢が進むに従い必要とされる乾物量は増加するが、110週齢を越えるとその量は逆にやや減少する。110週齢(25.7ヶ月齢)で500kgという乳用種雌牛は、すでに成畜に近い体格であるため以後急速な成長はなく摂取乾物量も減少する。
・給与飼料乾物中の可消化粗蛋白質含有率は、若齢牛では特に高水準を必要とするが、その絶対量としては55週齢時に最大である。これは表示の給与飼料乾物中の可消化粗蛋白質含有率(%)と乾物量(kg)を乗算すれば55週齢時に最大値(0.389kg)となることから確認できる。
・可消化養分総量は24週齢を過ぎると70%以下、77週齢を過ぎると60%以下となっており、高週齢において牧草や粗繊維成分の多い飼料作物などの粗飼料を多く給与する必要性が示唆されている。
・飼料乾物中のカルシウムとリンの対比では常にカルシウムのほうが多く必要とされ、その比率は8週齢時で最も大きく(2.59:1)、一方で135週齢時には小さく(1.30:1)なっている。動物体に含まれる全無機物の約70%がカルシウムとリンであり、カルシウムの99%とリンの80%は骨や歯に含まれている双方とも妊娠中および泌乳中にはさらに多量を配合する必要がある
ビタミンAとD牛の反芻胃内で合成されないためビタミンの中で最も不足しやすく、飼料添加物としてビタミンA・D2の被覆粒子状製剤を使用する必要がある。いずれも高週齢での含有率が高くなっており、高週齢での給与絶対量は乾物量に応じてさらに増大する。
・ホルスタイン種子牛の出生時体重は雄で44〜48kg程度、雌で40〜45kg程度である。和牛では母乳主体で哺育される(約2.6週齢頃まで哺乳)が、ホルスタイン種では通常生後すぐに、あるいは1日程度で母牛から離される。その後に初乳を給与するが、母乳給与期間が短いため飼料の栄養価に特に留意しなければならない。

給与飼料量の計算

問.日本飼養標準によれば、体重600kgの乳用牛が乳脂率3.5%の乳を1日20kg生産するための1日当たりの必要TDN量(可消化養分総量)は10.7kgである。この牛に表に示した組成の粗飼料を1日当たり10.0kg給与し、不足するTDNをTDN含有率が80%の濃厚飼料で補うとする。濃厚飼料の給与量としてはどのようになるか?(ただし、TDNの計算において可消化の粗脂肪については2.25倍する。)

水分 粗蛋白質 粗脂肪 可溶無窒素物 粗繊維 粗灰分
組成 14 16 2 35 25 8
消化率 - 70 40 70 50 -

TDNとは可消化養分総量の略で、可消化粗蛋白質+可消化粗脂肪×2.25+可消化可溶無窒素物+可消化粗繊維という式で計算される。この問題では組成と消化率がわかっているので、この積によってTDNを求めることができる。なお、表中の水分と粗灰分はTDNの計算には算入しない。濃厚飼料の給与量をXとすると次式が成り立つ。
10.0×(0.16×0.7+0.02×0.40×2.25+0.35×0.70+0.25×0.50)+0.8X=10.7
これを計算すると、X=7.125となる。




  


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