農学全般

栽培学汎論

作物の害虫

イネの害虫

ツマグロヨコバイは幼虫または成虫でイネ科雑草中で越冬し、年3〜5回発生する。イネの茎から吸汁して、イネ萎縮病イネ黄化萎縮病を介する。北海道以外に分布する
・イナズマヨコバエはイネの葉鞘に産卵し卵塊で越冬し、年4〜5回発生する。イネ以外の食草については不明である
トビイロウンカは暖地ではイネ科雑草で卵態もしくは幼虫態で越冬し、九州地方や高知県では年6〜7回発生する。幼虫、成虫ともにイネの茎から吸汁し、イネを枯死させる。グラッシースタント病、ラキットスタント病ウィルスを媒介する。大発生する年はアジア大陸で越冬した成虫が、春から寒冷前線の進行に伴って海を越えて飛来すると考えられている。
セジロウンカ7月末〜8月にかけて大発生することから夏ウンカと呼ばれ、その被害は甚大である。6月頃からすでにみられ、年5〜6回発生する。大発生する年はアジア大陸で越冬した成虫が、春から寒冷前線の進行に伴って海を越えて飛来すると考えられている。
ヒメトビウンカは幼虫態でイネ科雑草中で越冬し、関東では年4〜5回発生する。吸汁害よりもイネ縞葉枯れ病ウィルスの媒介による被害が深刻である。
アワノメイガはイネ科雑穀類を食害する害虫で、加害植物の中で老熟幼虫のまま越冬する。特にトウモロコシにおいて被害が大きい。
アワヨトウ非休眠で、北海道・東北では年2回発生するが、その他の地方では年4〜5回発生する。イネおよびイネ科畑作物や牧草類を食害する。大発生の原因は中国大陸からやってくる低気圧に乗って飛来する成虫群によって引き起こされると考えられている。
・イネミズゾウリムシは成虫態で越冬し、春になると越冬場所近くのイネ科雑草を食べるが、田植えとともにいっせいに水田に侵入し加害する
・フタオビコヤガは蛹でイネわら内において越冬し、4月下旬頃から成虫が現れる。成虫は夜間活動し、イネの葉表の葉脈に沿って数十卵をまとめて産み付ける。

様々な作物の害虫

ハスモンヨトウ広食性の害虫で、大豆以外にも、サトイモ、サツマイモ、ハウス野菜など多くの農作物を加害する。非休眠耐寒性は弱く温暖な西日本ではハウス内で越冬する移動性が高く台風や梅雨前線に運ばれて、海外から飛来する場合もある。年に数世代発生し、九州のダイズ畑では7月下旬〜8月頃に幼虫がみられるようになり、9月や10月にしばしば大発生する。
コナガアブラナ科野菜の重要害虫であり、年間の発生回数が多く繁殖力が旺盛なため防除が困難となっている。農薬に対する抵抗性が強いことも防除が困難な理由の1つである。しかしながら農家では品質保持のために頻繁な薬剤散布を余儀なくされ、抵抗性の発達が危惧されている。幼虫は葉裏から表皮を残して食するため葉はところどころ半透明となり、やがて裂けて小穴があく
ハモグリバエ幼虫が表皮下に潜り込み、葉肉組織を食害しその跡が不規則な白い線となって残るウリ科(キュウリ・メロン・カボチャなど)、ナス科(トマト・ナス・ペチュニアなど)、マメ科(ダイズ・エンドウなど)、キク科(キク、マリーゴールドなど)、セリ科(セルリー、ニンジンなど)といった広範な作物を食害する。寄生性天敵では寄生蜂が有力でヒメコバチとコマユバチを混合した製品がヨーロッパで販売されている。
・キアゲハの幼虫はニンジンなどのセリ科植物の葉を食害し、成虫は葉面上に産卵する。
・マメシンクイガは幼虫がダイズなどのマメ科植物夾中に侵入し、子実を食害する。成虫は夾上に産卵する。
ウリハムシはウリ類の中でも特にスイカメロンに大きな被害を与える。幼虫は根を食害し、成虫は葉を食べ根元近くに産卵する
ネコブセンチュウメロンキュウリダイズなど多くの作物の根に寄生し被害を与える野菜類の重要害虫である。主なネコブセンチュウ類としてはサツマイモネコブセンチュウキタネコブセンチュウが知られている。幼虫は根の先端付近に移動して、口針による吸収刺激を細胞に与えコブを形成させる。ネコブセンチュウの寄生によってコブが形成されると根の組織が壊され,水分や養分の吸収が悪くなり,ひどい場合には葉が黄変し枯れることもある。




  


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