農学全般

栽培学汎論

果樹

果実の分類

・果実の多くはその形質と、可食部に肥大する花の部位によって大きく4つに分けられる。
仁果類・・・花の花床が肥大化したもの。ex. リンゴナシビワ
核果類・・・花の子房壁が肥大し、中果皮が果肉を、内果皮が固い核を形成しているもの。ex.モモ、スモモ、ウメ、オウトウ
液果類・・・子房壁の中果皮・内果皮あるいはその一部が肥大し軟らかくなったもの。ex. カキブドウカンキツ類
堅果類・・・子房壁が堅い殻になり、種子を食するもの。ex. クリ、クルミ

果樹の結果習性

・結果習性は新梢上において花芽の形成される位置と、さらに花芽が発達して開花結実に至る状況を総称したものである。花芽の着生位置によって、@新梢の頂芽が花芽になる頂生花芽、A新梢の頂芽およびそれに近い2〜3の腋芽が花芽になる頂腋生花芽、B新梢の腋芽が花芽になる腋生花芽の3つに分けられる。また、花芽の種類によって、@花だけが咲き芽のなかには枝葉を含まない純正花芽、A花芽から出た枝葉の先端に花をつける混合花芽T、B花芽から出た新梢の葉腋に花をつける混合花芽Uの3つに分けられる。
・カンキツ類は年に3回程度成長した新梢の頂芽または腋芽に花芽ができ、翌年にその部位に直接開花結実するものと、新梢を出してその先端に開花結実するものとがある。特にウンシュウミカンでは受粉により種子が形成されると商品価値が低下するため注意が必要である。
・ビワは伸長した新梢の頂端7月下旬から8月上旬にかけて花芽が分化した後、10月以降に開花して受精した花は幼果となって翌年5〜6月に成熟する。果実が冬を越してから成熟する点が特徴的である。
・クリは新梢には雌花と雄花を着生する枝雄花だけの枝葉だけの枝の3種類があり、前年枝上の頂芽およびその下部の2,3芽が雌花と雄花を着生する枝になって、それが翌年に成長し基部付近に雌花が着生して開花結実する。
・サクランボは新梢基部付近の腋芽または短果枝に花芽が形成され、翌春にこの花芽が開花結実する
・ナシは頂生花芽で、翌年にその花芽が開花して果実をつける。リンゴの結果習性も同様である。
・モモは前年にできた花芽がそのまま開花して果実をつける。同じ結果習性を示すものにウメ、スモモ、アンズ、オウトウがある。
・ブドウは腋生花芽で、翌年にその花芽から結果枝を伸ばして果実をつける
・カキはブドウと同じく腋生花芽で、翌年に花芽から新梢を伸ばして果実をつける

果樹のハウス栽培

・ブドウは自発休眠期間中には被覆加温しても発芽しない。このためブドウの加温促成は自発休眠が完了した2月中旬以降に始められる。また収量が劣っても促成が望まれるような超早期加温栽培では、石灰窒素の上澄み液硝安などの塗布あるいは散布によって休眠打破が行われる。
・カキのハウス栽培では成熟(着色)期が8〜9月で、果色の主体となる色素はカロチノイド(特にリコピン)である。カキ(甘カキ)は低温で着色遅延や品質低下が起こるため関東以西の温暖地、特に西南暖地での栽培が盛んである。
・モモのハウス栽培では糖度11〜13%の高品質果実を早くから供給でき黒星病せん孔細菌病などの発病が少ないという利点があるが、その一方、灰星病(子のう菌類)が多発するなどの問題もある。モモは受粉、摘果、袋掛けなど結実管理に多くの労力が必要であるため、無袋栽培により省力化が図られたが、同時に強い風雨で伝播する黒星病やせん孔細菌病が増加した
・早生ウンシュウミカンのハウス栽培は露地栽培よりも糖度・単収がともに高く果実もむきやすいという利点があるが、30℃以上では温度が高すぎ収量・品質が低下するため温度管理には注意が必要である。適温は大体20℃前後である。
・オウトウは自家不和合性の程度が最も強い果樹の1つであり、栽培の際には他の品種を花粉用品種として一緒に植え付ける必要がある。さらに品種間でも不和合性を示す場合があるため栽培には注意をしなければならない。




    


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